今回は、BIツールにおける可視化の仕様に関する提言を行う。

 

この背景には、通例として用いられるダッシュボード上の俯瞰図とそのドリルダウン図では、業務執行における指標をとらえる際、ドリルダウンでの細分化を繰り返す必要があり、問題点に行きつきにくい仕様であるからである。

 

 

業務執行における問題点はボトムアップ型での発生となるため、可視化の順序で仕様を定めるのであれば、ボトムアップ型のフローが望まれる。本稿では、現在主流の俯瞰図とドリルダウンの組み合わせの可視化仕様の特徴を踏まえつつ、対処しにくい課題解決に向けたBIツールの仕様を提案する。

 

目次

 

 

1.俯瞰図とドリルダウンの組み合わせは“わかっている人向け”の仕様か

 

 

BIツールにおける俯瞰図とドリルダウン図の組み合わせは、以下の前提条件が揃うと、経営戦略視点からのトップダウンと業務執行観点からのボトムアップの両面から有益なものとなる。

 

(1)経営指標の俯瞰データから業務執行の各部署の細部データまで揃っている

(2)データがリアルタイムで更新されて、なおかつそれをモニタリングして即座に問題を指摘、修正できる仕組みが揃っている

 

そこで、改めて(1)と(2)をそれぞれ検証する。

 

(1)については、BIツールに用いるデータを作成する段階において、その最終仕様である俯瞰図に見合った粒度にデータを取りまとめる傾向が出てしまう。なぜなら、部署単位で日々扱っているデータ群は部署内の効率性の観点から必ずしも全部署共通の仕様ではないため、取りまとめようとすると加工のプロセスが挟むことになる。

 

さらに、それらのプロセスがすべてドリルダウンの形式で保持できれば良いのだが、現実上、「俯瞰図からのドリルダウンの操作」の運用前提ではどこかで抽象化するのが自然な流れである。

 

 

(2)については、リアルタイムの更新の時間ステップの幅にもよるが、データ化された後の更新という意味ではバッチ処理が生じることになる。

 

さらに、モニタリングによるチェックでは、プログラムによる自動判定はそのロジックに依存することになるし、人的な工数をかける場合もコストの程度として適切かどうか判断を要する。

 

なお、実務執行での問題は、実務執行側で即座に解決が最も効率性は高いので、(2)は改善プロセスと手間の観点からも非効率的である。

 

 

このような意味で、BIツールの俯瞰図とドリルダウン図の組み合わせの仕様は、経営戦略視点で、まとまった期間のデータを集めた後、問題点を改めて深耕してみる場合に有効にできている

 

問題点が細部にある場合、さらに付け加えると前段落の事項がわかっていると比較的発見が容易となるので、BIツールでの可視化は、ある意味わかっている人に向けた仕様であるといえる。

 

 

さらに、BIツールの運用には背景としての統計スキルが要求されるが、俯瞰図とドリルダウンの組み合わせは、俯瞰図から問題個所の詳細化した上での分析という、分析のセオリーに沿ったものである。このことからもBIツールの仕様は統計スキルでの熟練したユーザーにとっても理にかなったものとなっている。なお、この統計解析のプロセスは、細部データが正しく集約された担保の下、成立するものであるという点で、細部データの正確性は非常に重要である。

 

 

2.データ上から現れる課題をすぐに活かせる運営仕様となりえるか

 

 

前節でのBIツールでの仕様は、正確性が担保された細部データをまとまった期間で取りまとめた後、習熟者が紐解くには非常に有用である。では、習熟していないユーザーでも即時で問題を指摘、修正できるような運用をするためにはどうすべきか。

 

 

そのヒントとしては、過去の経営に関わるデータのノウハウからの時間幅・データの種類の運用上の絞り込みがある。

 

その場合、経営上の問題点への総合化を改めて省ける労力分だけ、個別部署に対応した細かい問題把握と実際の行動に結びつけやすい仕様となる。

 

各部署で生成される細部データの重要性は不変であるので、細部の領域に見合った課題判定をいかに内部化させる仕様とするのかが、BIツールの今後の拡張仕様で求められているのではないか。

 

 

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松島和史
代表・DataStrategist
主にサプライチェーン産業のノウハウを活かして、生産・物流・販売の統計を用いたデータ解析の設計から解析・改善の深耕まで実践中。モノから人へ。マーケティング視点と業務視点両方ありのプレイングマネージャータイプ